山松ゆうきちのボロ小屋 <立ちしょんべん>

 ウンドロ148  1




 ドールハウスの、アキナと言うひときわ派手な看板の店に、2メートルもある大男のタウロは、おそるおそる足を踏み入れた。

門をくぐると、S字型の扉は音も無く左右に開き、ブルーの絨毯が敷かれた階段を上がると、

台の上に、髭を生やした老人の顔が据え置かれていて、どこかで見たような顔だなと思案しながら近づくと、置物と思っていた爺さんは、突然笑顔になり、

「いらっしゃいませタウロ様、精算は自動的に行われますので、お楽しみの後はそのままお帰りになってけっこうでございます。コースは右手より、1千賃個から1万賃個までございます」

流暢に喋りはじめたのでビックリして仰け反る。

 

誰にも見つからないように、細心の注意を払って店に入ったはずだったが、初めて来た店でのっけから名を呼ばれた事に驚くが、ここまで来て今更帰るわけにもいかない.

コンピューターの広告に出ている、チキンを食べる爺さんに似ていると思いながら、髭老人の顔の脇を通り,

クネクネねじれて血管の浮き出たような、卑猥そうなオブジェの並べてある、薄暗い廊下を用心しながらオズオズと進む。

突き当たりの壁の台に置かれた、大きな手がコッチへ来いと招き、

上の壁に取り付けられた,巨大な面顔が目じりを下げて微笑み、

「いらっしゃいませ、タウロ様。お遊びはあちら2番目のパネルが適当かと思います」

パネルには、美人、ロり、巨乳等と書かれ、白、ピンク、黄色、ベージュ、褐色、黒と記されている。

女について多少の知識はあるが、美人の白がどういう言うものなのかは解らないのでМXを押した。

「あちら右手の廊下を進み、Eー2にお入り下さい、どうぞ」

上にE―2と書かれたV字のドアの前に立つと、扉は音も無く上下に開き、四歩ほど進んで箱形の部屋に入るとドアは閉まり遮断される。

 

再びドアが開くと、黄色い長い通路の前に立っていた。

左右に幾つものS字のドアが並び、一番手前には<yuri>と書かれている。

前に立つと扉は左右に消え、奥行き4メートルほどの、赤い絨毯とピンクの壁の狭い部屋の奥から、幼い顔の小さな女の子が現れ、タウロを見てニッコリ笑顔で首を傾け、

「ご主人様、お待ちしていました。どうぞいらっしゃいませ」

その笑みのあまりの可愛さに、初めて聞くか細く高い声に、タウロの脳髄は痺れて総毛立ち、背中がゾクゾクっと震えた。

「おお、おおお、これが女か。」

それは何十年も前に、マスターノブナガキンの部屋で見た少女にそっくりだった。

否、顔や声や姿は違っているが、紛れも無くアレと同じ女だ。

タウロは、その部屋に入らず前を通り過ぎると、消えたドアが現れて部屋は通路と遮断される。

次のドアも次のドアも開かなかったのは、おそらく客がいるのだろう。

七番目の<kamome>と書かれたドアが消え、部屋の中にいる女の子が、やはり首を傾けて微笑んでくる。

タウロはブルブルっと身震いをして中に入ると、消えたドアは音も無く現れて閉まり、赤く、黄色く薄暗く点滅する、欲情をそそるような部屋に変わった。

「いらっしゃいませ、ご主人様。カモメを選んで頂きありがとうございます。とっても嬉しいです、うふふふ」

頭から顎までが15センチか20センチほどしかない。小ぶりの顔から大きな目をした人形はニッコリ笑い、先ほどの少女よりも白く、もっと幼くか細く高い声で頭を傾けて言う。

「う〜、可愛い、可愛い、なんて可愛いのだ」

潤んだ瞳で見つめられてたじろぎ、手を付けてはいけない、神聖なものを汚すようで気後れしたが意を決し言った。

「紐を解いて身体を見てもいいですか」

「はい、ご主人様、遠慮なさらないで、カモメはご主人様のものでございます」

前で閉じた淡く薄い服の紐を解き、恐る恐るはだけると男の胸とは全く違う、丸くお椀のような乳房が現れる。

「いあん、恥ずかしい、見るのはチョットだけですよ、あんまりジロジロ見ないで下さい」

女に手は無く足も無い。

ヒョウタンのようにくびれた細い腰にベルトが巻かれて固定され、その下はムッチリとふくらみ、頭の先から胴の下までの体長は六十センチか、七十センチほどだろうか、女体の胴は40センチほどしかない。

それはコケシのようでもあり人形にも思える。

「おお、おおおお、これだ、これが女の身体か」

恐る恐る乳房に触ると、柔らかくもなく硬くもなく、プルンと弾力に満ちて揺れ、やんわりと突き出た乳首に触れて、つまむと膨れて飛び出して立った。

「ああん、ご主人様のエッチ、そんなとこいじられると切なくなります、ぁぅ〜ん」

コケシは、なまめかしい甘えた声で囁き、くびれた胴の底をくねらせながら前に向け、無毛の割れ目を見せて腰を捻って誘った。

桃のようにツルンとした、女性器を目にしたタウロはうろたえたが、急いでズボンを脱ぎ、いきり立った男根を出して、固定された人形を丁度いい高さまで下げると、分身を挿し込むために女陰にあてがう。

ぬるりとした暖かさがあり、オイルを塗ったような液体で濡れている。

男根は太かったが、先は切り取られ、長さは七センチか8センチほどしかなく、すりこぎのように丸まった先を、小さな女陰に当てて、クリクリ捏ねながら広げ押し込む。

「うふ〜ん、ご主人様はここは初めてですか。入れるのは、そこじゃ、ないの、もう少し下です」

桃は割れ、イソギンチャクのように開いた女陰は、男根を包んですぼまる。

「オオ、おお、凄い、入る、入った、こんな小さな穴にすんなり入った。」

何とも言えない気持ちよさが全身をかけめぐる。

「ああ、太い、硬い、たくましい。気持ちいい、ご主人様、ああ〜ん。」

蕩けるような甘い声に誘われ、少女の尻を抱えて引き付けると、女性器はピッタリと男根に張り付くが、それでもタウロは、抜けないように密着して抱え腰を振った。

「もっと、もっと、もっと突いて、もっと、ああん、カモメをもっといじめて、ああああんん〜。来る、来ちゃいます〜、ご主人様〜、ああああ、うおおおお〜〜ん。」

「うおおお、くぅ〜〜、ぉぉぉ。」

快感がこみ上げて来て、脳髄は痺れに襲われ、うめき果てるまで20秒とかからなかった。

 

 

その星の名はアーチェロック星。

 

正式名称はウンドロ148。

地球から2万3千光年のかなたにあり、我々の棒状銀河で人の住む14番目のエリアがウンドロであった。

ウンドロの星は37あり、この星には、太陽が3つある。

 

San1の大きな太陽を通称ビックサン。

28もの惑星が廻っていて、内から数えて12番目の惑星、人が住む8番目の入植地が、ウンドロ148のアーチロック星だった。

質量が小さく光の弱いsan2の太陽は、スモールサンと呼んだ。

sann2は人の住まない惑星が7個ある。

二つの太陽は、8の字を書きながら互いに連動して廻っている、

このSan2の太陽の内側に、後で発見されたもう一つ見えない太陽ダークルナがあった。

強力な磁場があり、電子を放出するが、この暗黒の太陽は、光を屈折させて吸い姿は見せない。

 

アーチロック星は自転せず、同じ面が常にビックサンを向いて回っていたが、二つの太陽に引かれていびつな楕円に周り、一回りするのに98年かかった。

星の3分の1はいつも暑く暖かで、3分の一は穏やかで、3分の1は寒く1年中冬だった。

1日は28時間あり、1ヶ月は26日、12か月と1日を加えた、313日を過ぎれば1年とし、10時間が労働時間に割り当てられていたが、タウロは一日の半分以上働いた。

仕事が終われば一人で酒を飲み、タバコを吸って浮かれるのは自由だったが、働きが悪ければ処分される。

 

人口が千人を越えれば、人類が生存できる入植地と認められ、ウンドロ148のアーチロックはすでに500万人近くの人口を持つ星だったが、緑に覆われているのは都市の周辺だけで、鉄分が多く、ほとんどの大地は黒くあるいは茶褐色をしていて、空はヘリュームやメタンが渦巻くガス星だった。

固い岩石を、重機で粉砕して砂にし更に砕いて土を作る。

92歳になるタウロは、ボンベを付けて15の時から、77年もの間この仕事を続けていた。

 

この星のすべての人は、大姫アヌンキナ アルディー カフゼーから生まれたと言われているが、人は男だけで何故か女はいない。

 

何千人ものそっくりの赤ん坊が寝ていた。

子は1ヶ月ごとに区切られ、百人ずつが1クラスにされて、満たせば次の教室に分けられ育てられる。

同じように生まれ育てられても、同じにはならない。

何度か適正別に、教科を組み替えられクラスを分けられる。

頭が良いと判断されれば、培養された知識を養殖されて勤勉に訓練され育てられた。

彼らの背丈は成長する事無く、頭ばかりが大きくなる。

タウロは筋肉を補強されて鍛えられ、課せられた課題をクリアできなければ、仲間は間引きされ少しずつ減っていった。

15の時まで、何人残ったのか知らないが、幸いにも真面目で、頑強な身体を持つ彼は落ちこぼれる事なく、一般労働者工奴とされ入札で、マスターノブナガキンに買われた。

DE―632がタウロの番号だった。

 

始めの10年ほどは、食べ物を与えられるだけのタダ働きだった。

ガスが渦巻く大気に、酸素は少なく風はほとんど吹かない。

ボンベを背負い人跡未踏の硬い鉄の山に上り、ロボットを使って岩石を爆破して砕き、重機で平たく均す。

砕けた土地から、マンガンなどの鉱物を取り除き、アンモニアやリンやホウ素などと共に、鉄に取り付き腐食させる、何種かのマリポンダ菌を混ぜ、重機で何度も盛り返され捏ねられ土を作る。

更にこれらを食す有機物や、線形環形動物等の微細な小さな虫が撒いた。

酸素は、大量に生産されていた。

重力の強いこの星で、粒子が宇宙の外の逃げる事はほとんど無いが、大気の中に酸素が放出されても、あるか無きに散り消えてしまう。

乾いた土に強い苔やシダの種が撒かれ、水は途切れることなく与えられる。

やがて雑草が根付くと植物が植えられ、小さな木が植林された。

小さな木が育てば、更に新しい苗が植えられる。

順調に成長すれば、この星特有の根の太い大木に育った。

ロボットと重機を駆使して、ボンベを背負っての仕事は過酷で孤独過ぎたが、親方になり、マスターに昇格すれば、開墾した土地の4分の1が与えられ、あるいは貰える事になっていた。

それを希望にして耐え、土地の所有を夢に思ってふんばり頑張った。

毎日毎日、何年も果てる事無く気の遠くなるような作業を、飽く事無い精神を持ち続けて労働しなければならない。

 

生物は生きるように作られている。

生きるためには欲望がいる。

彼らの毎日の欲望はただ1つ、与えられる餌だ。

餌は働きと身分に見合うように与えられ、大きな欲を、希望とか夢と言うが、工奴の話す事の多くは、まだ見たこともない女と言うもの事であり、食べた事のない食事の品評と、酒と麻薬の魅力についてだった。

麻薬や酒は、月に10賃個も出せば充分に買えたが、この星には女が1人も居ない。

居る事は居たが、特定の場所にしかおらず、買うには最低でも1000賃個が必要だった。

全ての男達の生殖器は、産まれた時に切り取られて短く、精線は止められていて射精ができず、ただ小便をするだけに残されていたが、それでもまだ見ぬ女の話になると興奮し、1千賃個出せば遊べることを誰もが知っていた。

 マスターになり女を買う。

それ工奴達の待望な夢だった。

労働が20年が過ぎた頃、親方見習いのハンに昇格し、10賃個の給料がもらえ、時々に自前で酒を飲み、タバコや麻薬を吸った。

やがて親方見習いのハンサーハブになり、給料も50賃個に上がった。

それが30年続き、サーハブのノブナガキンから、やっと毎月100賃個の給料と、優秀なロボットや、機材が与えられて独自に開墾できるようになり、ボンベを背負わなくとも暮らせる土地が、徐々にではあるが増えてくる。

仕事が終われば1人で酒を飲み、タバコを吸って浮かれるのは自由だったが、働きが悪ければ処分される。

孤独に耐えられなくなれば、コンピューターの前に座って仲間と語らい、麻薬を吸ってゲームを楽しむが、時には寂しさを紛らわせるために、飛行車に乗って友を訪ね、あるいは買い物ついでにカフェまで足を運ぶ。

 

「誰にも言わないと約束すれば教えてやる。俺らは男で、人はもう1つ女と言うのが居る、女には男の前に付いている棒を入れる穴があるのだ」

女の穴はアソコと言うが、本当はチョメチョメと言うのだと、教えてくれたグリームは、サブマスターから工奴に身分を落とされ、

「ここだけの話だが、それはヴァギナだ」

と言っていたカマーリーは配置変えとなってどこかへ行った。

役にたたないと判定されれば、モバイルを持つ権利を奪われ、

コンピューターのスクリーンに出なくなり、労働にだけ従事する工奴に落とされる。

更に役にたたないと判定されれば、奴民となって処分され、顔を見る事も無く、声を聴く事も無い男の事などいつしか忘れ去られる。

処分されると言っても、あらゆる臓器は有効に、あるいは実験用に使われ無駄にはされない。

人体は刻まれて細胞は増殖されて、他の動植物とかけあわされた新たな生物が製造され、あるいはそれらの栄養とされる。

動かぬ動物。歩く巨大な植物が作られ、それは主に食用や、酸素や、有機物等の生産が目的だったが、最早、動物や植物、人間やロボットやアンドロイドの判別は難しくなっていた。

「アキナと言う女ばかりの店があって、1千賃個出せば買える」

「どこかの遠い星には、女ばかりがいるらしい。男は賃個と言われる棒を持っているだけらしいぜ」

女の話は暗黙のタブーであったが、誰1人見た事の無い女への興味は尽きない。

 

 鬱々とした薄暗いカフェであったが、飲んで食って、時間が許せば泊まる事もできる。

荒っぽい男ばかりの店で飲んでいれば、いざこざがあり喧嘩になる。

ルールは素手で戦う事だったが、かなわないとみて椅子を振り上げた男がいた。

周りの男に足をかけて転がされ、寄ってたかって首を捩じられた。

死ぬ事はなかったが、以来男はいつも首をかしげている。

温厚なタウロは、あまり酒が飲めなかった。

断ると鉄拳の制裁が下され、荒っぽく投げられ何度か気絶させられた。

20ヘクタールの土地を開墾したとき、2分の1は所有税として収め、4分の1はサーハブマスターのノブナガキンが取り、タウロは5へクタールの土地の権利と、胴が長く足の太い毛むくじゃらの若い弟1人を貰った。

弟のいる家族をハンと言う。

ハンになったタウロは、他の開墾者と同じように、与えられた畑に種を蒔き、まだ星全体が試行錯誤しながらではあったが、実れば金に変え蓄えとなる。

40年をかけて100ヘクタールを開墾し、25ヘクタールの土地と5人の弟を貰い、給料の他に、毎月の畑で取れる穀物の取り分を合わせると、収入は少ない時でも3千賃個ぐらいにはなった。

人や機材が増えれば、開墾のスピードは速くなり、1人で40年かかった開墾が今は3年か4年足らずで出来る所まで来た。

 

宇宙船カンリンマルは、21年ぶりにアーチェロック星に帰ってきた。

大気に突入したロケットは炎をあげ、徐々に減速し、やがて火は消えてロケットから翼が現れる。

黒い岩ばかりの、ガスの充満する空を飛び、タウロや弟達が働く赤茶けた上空を飛んで行く。

耕された畑の上を行き、緑に覆われた林を、森の空を飛び、円筒や三角の塔の立つ街が現れるが、街の道幅は狭く人影は無い。

通りの角々に立つ、ロボットやアンドロイドだけがせわしなく、あるいはゆっくりと動いていて、それぞれの建物は全て筒型の橋でつながり、空には翼を持つ小さな車が飛び交っていた。

大きな建物は四角形であり、更に大きな建築は5角6角形に造られ、宇宙船は7角のドーム型の巨大な基地の中へ入って行った。

 

基地の先に見える、カストリと呼ばれる一際大きな塔は、8角の円形に近く高さは1千メートルもあった。

その塔の最上階の広い部屋に、身の丈が4メートルもある大星督マタンキンは、窓際に立って街を見下ろし、空を眺め、帰って来た宇宙船を確認していた。

大星督マタンキンは、ゆっくりと壁に貼られたスクリーンの星座に目を移す。

ウンドロ148 <アーチェロック星>に手を触れると、画面は縮小しながら反転して、他の星々の天体に変わり、宇宙に輝く無数の星から、ウンドロ148。ウンドロ147等。ウンドロの38個の星が浮かび上がるり、入植している八個の星が青く塗られ、その中の一番大きな青い星が、ウンドロ143のミーヤマグリン星だった。

天体の画面を遠くへ引くと、星は弓なりに弧を描くように集まり、二本の太い腕と、4本の細いオリオン腕に密集している星座になった。

それが我々の銀河、又は天の川銀河である。

全長は直径10万光年、厚みが1500光年あり、棒渦巻き銀河の形をなし、

太陽系に存在する故郷地球から、ウンドロ148のアーチロック星まで2万3千光年の距離があった。

 

「ぽろろ〜〜ん」

流線型のテーブルに置かれたコンピューターが鳴り、光が点滅して宇宙船の来着を告げる。

「ミーヤマグリン星から、カンリンマルが無事帰着しました。外交長ミツヒデキン様以下24名のお帰りです。」

「うん。戻ったか。待っていたぞ。直ぐにここへ来るように言ってくれ」

マタンキンは、外を見たまま答えた。

「御意。」

ウンドロの主星143 <ミーヤマグリン星> は、ウンドロ148 <アーチロック星> の三十倍もの巨大星で、人口も1千億人を越えている。

大星督はつぶやく、

「やっと、我が星アーチロックも外交使節が招待され戻って来た。もう直ぐだ。ここまで来れば、後100年でこの星の半分は緑になる。」

外交の目的は3つあった。

○ 新生物、新鉱物の取得。

○ 科学技術の伝授。

○ 貿易の促進。

3000年前に、マタンキンは母星のミーヤマグリン星から、156人の仲間と共にこの星148アーチェロック星にやって来た。

一部とは言え、星は緑になり、人口は10万を超え100万を過ぎ、今や500万人に達しようとしている。

これからの発展は、貿易を促進し、技術を貰い、可能な限りのあらゆる生物の棲める星にしなければならない。

そのために、21年前母国星ミーヤマグリンに、ミツヒデキンを使節として送った。

 

3メートルの身長を持つ外交司令長官ミツヒデキンは、速足でチョコチョコと歩く1メートルほどの小男2人を伴い、部屋の前で止まると、ドアは音も無く消え男達は中に入る。

ミツヒデキンは、マタンキンの前に出て両腕を上げて一礼すると、後ろの小男達も同じように腕を上げて一礼した。

「わちにんこ。ただ今戻りました」

「ご苦労。21年は長かった。ミーヤマグリンは歓待してくれたか。ウノンテ星帝に会って来たか。かの地の生物は貰って来たか。」

「御意にございます。天帝の身長は五メートルもあり、おおいに身体をゆすって歓迎して頂き、たいそう喜んで下さいました。」

ミツヒデキンはそこで一瞬黙り、それからおもむろに口を開く。

「ウノンテ様から、極秘の命令を受け賜って参りました」

「命令?見よう。」

豪勢な筒に収められた書を出し、中を開いてマタンキンの顔は緊張した。

「ミーヤマグリンは、地球防衛連邦軍と戦っていたのか」

「御意にございます。地球軍は強く、残念ながら退却を余儀なくされたと聞いています」

「負けたのか」

マタンキンは唸った。

 書には、友好の貢物として、穀物1万グレと、超金石1万グレを要求していた。

「何だ、このグレって言うのは?」

「1グレは千トンです」

緊張していたマタンキンの顔色が変わった。

アキナでの遊びは最低1000賃個と高く、おいそれとは行けるものではなかったが、タウロは辛抱がたまらなくなり、2ヵ月後にもう一度遊びに行った。

その時は思い切って3000賃個の、ダリアと言う名の女を買った。

黒ずんだ褐色の肌で目は細く釣りあがり、大きな口を持ち唇は厚く、コケシでは無く2本の細い腕を持っていて、可愛くはなかったがたくましそうだった。

卑猥でエロっぽく、惹かれるものがありこの部屋に入ったのだ。

彼女は両手を出して、分厚い唇を舌舐めずりしながらタウロを誘い、顔を近づけると頭を抱えられ、唇を舐め回し、口の中に舌を入れてきた。

驚くほどの太く長い舌で口中をかき回されてたまらずセキをしてむせたが、女はかまわず長い舌を喉まで伸ばして突付きくすぐる。

「ぐふっ、、がほっ、、うぐぐぐふっ、、、ふほっ、、、くっ、、ぅ、、ううう、、ぁぅ〜〜、、ぅぅ、、。」

心地よい快感が脳天を襲い、痺れは中天に上り止まらなかった。

「うふふふふ、どうなさいましたの、旦那様。」

「ふ、はふああ、、、あああ、、駄目だ、、出ちゃったよ。」

自身が自分の一物を掴み扱いても5分か10分はかかる。

それが、この前は不覚にも1分足らずの秒殺で行ってしまった。

今日は、3000賃個も出して、キスされ喉を舐められたただけで、気をやり果ててしまったのだ。

「うっん、駄目ね〜、ちゅっ、、ちゅっ、、内緒でもう1回、大丈夫よ、うふふ、、ぶちゅ〜、、、。」

「あう、、うふっ、、、ぐふっ、、おぁぁ、、、、。」

抱えられた頭から手を離さず、舌を差し込まれると喉が詰まったが、タウロは立ったままで、なすすべもなく身をまかせるだけだ。

「ラブして、ラブラブ、、ラブラブラブ、、愛してあげる〜。」

女は囁き、20センチもある長い舌を見て、その太さに驚きたじろぐが、首に巻きつき、顎を舐め耳をねぶり囁く、

「ラブするのは何回目、うふ〜ん。動いちゃ駄目よ、アタシがやってあげる、ふ〜ん、あう〜ん」

首を舐め、肩口を舐め、細い腕で衣服を一枚ずつ剥がして行き、胸を舐めながら、ソフトに股間に触り、小さな手でズボンのファスナーを下げ下腹を撫でて擦る。

ズボンははだけられ、下着の中に入ったもみじような細く小さな手が、短い竿を引きずり出してしごき、下にぶら下がっている玉をやんわりと揉む。

「うふふふ、お元気ね、こっちは凄く硬い、、。」

両手で玉を揉まれながら、男根に舌をからませ包みこむ。

「ぁう、、、、くっ、ふ、、、な、、なんだあ、これは」

快感は更に脳天を砕き、全身が痺れ果てるのを止められなかった。

「どう、ダリアの舌のお味は、旦那様、お気持ちは良いですか」

「ああ、ああ、いい、とってもいい、凄くいい、くっ、、あああぅ」

更に玉を舐め、竿を口に入れてしゃぶりしごかれ始めると、固い男根はムクッと張り一段と硬く怒張した。

根元に張り付唇いた唇は、出し入れするたびに伸び縮み、快感に耐えられなくなったタウロは、口から抜こうとしたが、中で舌が巻き付いて離れず、吸われ絞られながら果てた。

 

「うふふふ、もう1回」

唇を離した女は、腰の底が見えるように前に出して、女性器をさらしてくねらせる。

そこは、この前の少女のような無毛の桃では無く、細長く円形に真っ黒な毛が密生し、覆われた真ん中に黒ずんだ小さな割れ目が、光沢をはなっている。

「ここに入れて、、ね、、旦那様の、太いの、ここに」

自らの手で割れ目を開き、ピンク色の穴をさらす。

肉棒を押し込むと、小さな穴は広がりヌルリと飲み込んだ。

「ぁう〜ん、、き、もち、いい、ゆっくりね、あたしも、絶頂させて行かせてね、、ぁぁ、、。」

女に支持され、ゆっくり抜き差ししたが、すでに肉棒は痺れ限界は過ぎていた。

タウロは動きを止め、治まるのを待ったが無駄だった。

「だ、駄目だ、、腰が痺れて動けない、、う、、く、、動かないでくれ、、うおお〜〜」

「ううん、どう、したの、何が、駄目なの、ん、うん、あ〜っ、きっもち、い〜わぁぁ、んっ」

女は横腹やヘソを舐め、大きな舌を伸ばして男の乳首に絡ませ、腰を振って抜き差ししながら男根を捻る。

「は、果てる、、果てる、う〜〜、、ごめん、我慢できないっ。」

[あ〜ん、ん、ん、、はてちゃだめ、抜かないで、そのまま、もっとチョメチョメして、、お願い、、ね、、ね、、ね〜ん。」

黒い顔を赤くして仰向き、タウロを抱えたまま見つめてねだりながら、言葉とは裏腹に、女陰を締めて腰の動きを早くしていった。

タウロは痺れていた。全身に力を込めて硬くなりピクンピクンと痙攣した。

耐えられなくなり腰を引いて抜こうとしたが、ピッタリと張り付いた女陰は吸い付いて離れず、腰から下の皮膚に筋肉が浮き上がるほどに絞りながら、らせん状になおも男根を包んで扱き続ける。

「あ〜ん、あ〜〜ん、、あたし、チョメチョメが好きなの、あああ〜〜ん、、んんん、、凄い、、気持ちいい、、あう、あう、あううう」

女はタウロの腹を掴み、胸を叩き、自分の手を噛み、あらぬ方を見てくねり踊りだした。

「おおお〜〜っ、駄目だ、、これは凄すぎる、、く、ああ、辛抱できないっ」

腰を突き出し口を開けて果てたが、尚も女は舐めるように締めてくる。

たまらず座り込むと、男根に吸い付き合わさっていた女陰は伸びて、グボッと音をたてて離れた。

肩で呼吸し、息をはずませながら女を見ると、

「あう〜〜、、うう〜〜〜、、あう、あう、あああ」

身体をしならせてうめきながら、宙を泳ぐように身体を波打たせ、毛で覆われた秘貝から蜜をしたたらせて、ヒクヒクと痙攣している。

あっと言う間に4回果てた、いや5回かもしれない。

 

珍しく雨が降った。

灼熱の、あるいはうだるような暑さの中で、適度の雨ならば大歓迎だが、過ぎると育てた土が流され作物が駄目になる。

水をこす網を何重にも張り、土は流されないようにしてあるが、硬い岩盤は、雨を溜める事無く川となって土砂を容赦なく持っていく。

この星に、常に流れる川はまだ無い。

 

この頃、雨が多くなったようだ。

公用地は広大な林となって森となり、畑の2割は原っぱにしてあるが、それでも雨は恐い。

時折に強い風も吹くようにもなった。

たわわに実った麦が折れて倒れ、予定の収入が5分の1ほど減った。

「これじゃ土地は増えても収入は減る。五千賃個の麦が、四千賃個に減り、二千賃個に減るかもしれない。どうあがいても天には勝てないか」

もしかしたら、開墾すればしただけの雨が降り風が襲い、作物は全滅するかも知れない。

何をやっているのだ、俺はこんな事に一喜一憂しながら生き続けるのか。

何歳まで生きるのだろうか。

臓器を取り替えれば一千歳までも生きるかも知れないが、送られてくる弟達が優秀だと解かれば、マスターハンの地位は入れ替わり俺は処分される。

それが人の定めであり進化だ。

どうせいつか人は死ぬ。それでどうと言う事は無い。

どうと言う事は無いが死にたくは無い、考えれば堂々巡りのジレンマになる。

そして思い出すのは、ガールハウスのアキナの女であった。

                                 1話 了










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